弁護士コラム

2019.01.24

離婚の原因

一般的に離婚というと夫婦間で離婚の協議をし、役所に離婚届を提出する協議離婚をイメージすると思います。もし、夫婦の一方が離婚したくないときや、財産分与や親権等で合意が成立しない場合には、家庭裁判所での離婚調停や、離婚訴訟の手続に移行することになります。
法律上、離婚の訴えが認められるのは、以下のいずれかに該当する場合に限られています(民法770条1項)。

①配偶者に不貞な行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

①の不貞とは、いわゆる不倫のことです。たとえば、婚姻しているにもかかわらず配偶者以外の異性と性交渉をすると「不貞」にあたります。そして、裁判で不貞の事実が認定され、それにより婚姻関係が破綻したといえる場合には、離婚判決が出されることになります。

いわゆる不倫には、特定の異性とSNSや電話で親密なやりとりを行ったり、食事やデートに行く、スキンシップをする、といったことも含まれると考えられる方もおられるかもしれません。

しかし法律上は、性交渉がない場合は「不貞」にはあたりません。配偶者と異性との親密な関係を知った配偶者がショックを受け⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性はありますが、そうでなければこれらの行為のみで裁判離婚が認められることはないでしょう。

 

離婚の話し合いでお悩みの方、菰田総合法律事務所へご相談ください。
博多・那珂川に各オフィスがあるので、お住まいや職場に近いオフィスで相談可能です。
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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2019.01.23

離婚してはじめて知る…「自分は連帯保証人だった!!」

「名義変更をすれば、連帯保証人から外れるんじゃないの??」

名義変更で連帯保証人が外れることは、残念ながら「ありません」。
また、連帯債務者だった人が名義変更をしたからと言って連帯債務者から外れることもないのです。
なぜなら、連帯保証人は「主債務者」を保証する立場にあり、連帯債務者は債務者としての立場にあるため、主債務者の返済が滞ったり、もう一方の連帯債務者の返済が滞ったりした場合は、金融機関から返済請求されるようになります。

■住宅ローンを《夫が主債務者、妻が連帯保証人》で組んでいる場合
⇒夫の返済が滞れば、連帯保証人である妻に返済の義務が発生します。
■住宅ローンを《夫婦の収入を合算して》組んでいる場合
⇒夫婦ともに連帯債務者となっているため、どちらかの返済が滞れば片方にも返済請求されます。
夫婦の収入を合算して住宅ローンを組んでいる場合には夫婦ともに連帯債務者になっている場合がほとんどです。

例えば、離婚をする時の財産分与の過程で、妻の共有持ち分を夫名義に変更し、妻は所有者としての地位を失います。
そうすると、妻の住宅ローンの連帯保証としての地位も自動的に外れるのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、連帯保証人や連帯債務者であることは変わりません。

「離婚したのに、連帯保証が外れないなんて納得できない!!」

その気持ちはとても理解できますが、残念ながら法律で定められた日本の連帯保証制度であり、どうすることもできません。連帯保証が解除されるのは、ローンが完済されたときです。
ただ、返済中に連帯保証を外す方法がないわけではありません。

  1. ・住宅ローンを借り入れている金融機関の同意を得る
  2. ・資力などを含め現在の保証人と同等以上の保証人を立てる
  3. ・住宅ローン残額の内、一定額を一括で返済する

…などのケースが考えられます。

しかし、あくまでも債権者である金融機関の同意が必要であり、その同意を得ることも簡単ではありません。金融機関からすれば債務者が離婚したことは関係なく、連帯保証人や連帯債務者を外すことは金融機関にとってメリットがないためです。

ローンの支払い義務を負う一方が、住宅ローン残額全額を借り換えた場合、当然に連帯保証債務はなくなります。
しかし、住宅ローン残額より物件の時価が低いことが多いため、借り入れの担保として住宅ローンの対象物件だけでは不足してしまい、借り換えが実現しないケースはよくあります。

「だったら、売却して、全額返済!でスッキリさせようかな!!」

確かにそうなのですが…。ここで問題なのが、【住宅ローン>物件価値】という状況になっていた場合です。
この場合、売却代金で住宅ローンの完済ができません。また、住宅ローンを担保するために設定されていた抵当権も抹消することができません。抵当権がついた不動産を購入する人は滅多にいません。
そうなると現実的に売却を実現することは難しくなります。

離婚したからと言って、連帯保証や連帯債務がなくなることはありません。
もし、あなたが元夫と離婚をし、再婚した夫と新しい家庭を築き、幸せに暮らしていたとしても、元夫がローンの返済ができなくなってしまったら突然あなたの元に請求書が届くことがあります。その時あなたは「自分は連帯保証人だったの!?」「自分も連帯債務者だったの!?」と気づくことになります。
もちろん「知らなかった」で債務がなくなることもありません。結婚した時に離婚後のことを考える方はいません。
また、マイホームの購入時は、喜び、希望でいっぱいになりリスクを考えないまま金融機関や不動産業者にいわれるがまま「印」を押してしまう方が多いのです。

もう一度、不動産の権利関係、住宅ローンの状況を整理して確認していただくことを強くお勧めします!

 

菰田総合法律事務所では、離婚、不動産についてのあらゆる相談を承っております。
「私の場合はどうなるの?」「なんとかしたいけど、どうしたらいいか分からない」という方、ぜひ一度ご相談ください。
アクセスしやすい博多オフィス・那珂川オフィスにてお待ちしております。
まずはお気軽に菰田法律事務所までお問い合わせください。

 

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2019.01.23

もし、どちらかが再婚した後、亡くなってしまったら…

もし、不動産の共有名義を解消しないまま離婚した場合、その後、再婚や相続でさまざまな問題が発生してしまうことがあります。
例えば、離婚後どちらかが再婚した後に死亡すると、死亡した方の持分が複数の人に相続される可能性があります。そうなると、不動産の所有者が増え、権利関係が複雑になり、不動産売却時にますます全員の承諾を得にくくなります。

また、住宅ローンを完済したからと言って安心は出来ません。
住宅ローンを完済した後であっても、元配偶者が共有持分を担保にして借金をするケースや、税金滞納により不動産を突然差押えられてしまう可能性があるのです。

このように問題が起こってしまうと、メリットある共有名義がデメリットしかない共「憂」名義になりかねません。

 

菰田総合法律事務所では、離婚相談、それに伴う不動産売却等の相談も承ります。
菰田法律事務所までお問い合わせください。
福岡県内(福岡市、那珂川市、大野城市、糸島市…)、佐賀県など九州各県の方もお気軽にお問い合わせください。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2019.01.23

共有名義双方の承諾がなければ、不動産を売却できない?

夫婦それぞれが資金を出し合い、購入した場合は、その土地と建物は夫婦の「共有名義」にすることが一般的です。
例えば、3,000万円の住宅を夫が2,000万円、妻が1,000万円出資して住宅を購入した場合、住宅の持分割合を夫が2/3、妻が1/3と設定するケースが多いと思われます。

この場合の大きなメリットは2つあります。

1.多くのお金を借りることができる。
⇒夫婦の収入を合算することで、住宅ローンを借り入れるとき、より多くのお金を借り入れることができます。
2.税額控除を二重に受けられる。
⇒購入価格の一定割合を税額控除される「住宅ローン控除」「住宅売却の3,000万円の特別控除」を二重に受けることが可能です。

【住宅ローン控除とは】

住宅ローンを借り入れて家を購入する場合、購入者の金利の負担を軽減するための制度です。基本的に、「年末時点における住宅ローンの残高×1%」が10年間にわたり所得税から控除されます。
住宅ローン控除を受けられる要件として、住宅取得のために直接必要な資金であること、返済期間が10年以上であること等の条件があります。

【住宅売却の3,000万円特別控除とは】

家を売却したときには、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。不動産の売却価格が購入金額よりも高額になる場合、売却に伴い譲渡所得税が発生します。
マイホームの売却に譲渡所得税が発生すると分かれば、売却を断念するケースも発生します。そのため、国は居住用不動産(自宅改築中の間に仮住まいしている不動産は含まれません)に限り、3,000万円を課税譲渡所得から控除する施策を設けています。
しかし、共有名義にしたことが原因となり、離婚後、共有名義の不動産が大きな問題を引き起こすケースもあります。

「大きな問題って?!」

例えば、夫婦の一方が仕事を辞め収入がなくなれば、辞めた方は所得がなくなるため、所得税は発生しません。所得税が発生しない場合、住宅ローン控除を受ける余地がなくなるので、節税のために連帯債務にした恩恵が受けられなくなります。
妻が出産や育児のために仕事を辞めることがありますが、これは事前に予測されることが可能な「通常のデメリット」です。この通常のデメリットを超える問題が離婚で不動産を売却する場合です。

あまり知られていないのですが、共有不動産を売却するには、所有者全員の承諾が必要となります。つまり、夫婦共有名義の不動産は「夫」と「妻」両方の承諾がないと売却することができないのです。
離婚しようとしている夫婦両方の承諾を得ることは簡単なことではありません。夫は不動産を売却して得たお金を財産分与として分け合いたいが、妻は住み慣れた家での居住を継続したいと、意見が合わない場合や、どちらかの失踪などで連絡がとれず承諾を得ることができない場合などがあるからです。

また、夫の浮気が原因で離婚することになったが、妻が自宅での居住を継続している場合、妻は、売却益を分与することが合理的であると理解していても、浮気した夫への感情面から頑として売却に同意しないということもあります。
売却までの時間が長引けば、時間の経過と共に不動産価値も下がり、問題が解決するまでの間、住宅ローンは返済しつづけなければなりません。

夫と妻の両方から承諾を得ることは、簡単なようでなかなかうまくいかないのが現状です。

 

いかがでしたでしょうか。離婚後に共有不動産を売却する際、トラブルとなりやすいパターンをご紹介しました。

このようなトラブルでお困りの方、菰田総合法律事務所へぜひご相談ください。
プライバシーは厳守します。博多・那珂川に各オフィスがあるので、お住まいや職場に近いオフィスで相談可能です。
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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2019.01.18

養育費とはわけが違う!破産のリスクが一気に高まるローン残債問題!!

離婚の話が持ち上がった時、親権や養育費、慰謝料について優先的に協議がなされ、不動産についての問題は後回しになりがちです。
預貯金や車、家財などの財産分与については、分与した時点で終わりますし、慰謝料や養育費については、話し合いで双方が納得していれば、分割で支払っていくことも可能です。

しかし、住宅ローンについては、契約している相手が「金融機関」です。金融機関は、自宅のローンであればきちんと返済がなされるであろうとの前提で特別に低金利での貸付を行っています。返済が滞ったり、約款違反があると一括で返済を請求されてしまいます。

例えば、離婚し、家を出た夫が住宅ローンを返済しつづけ、連帯保証人である妻が自宅に住み続けている場合を考えてみましょう。

この場合、元夫がローンの返済ができなくなると、金融機関は元夫に対して一括返済を求めます。しかし、元夫が返済できないとなれば、次に請求が来るのは自宅に住んでいる連帯保証人である元妻です。当然、金融機関は元妻にも一括返済で請求します。
住宅ローンを組んでいる、ということは自宅に抵当権が設定されているでしょうから、返済に対応できない場合、金融機関が抵当権を実行するため自宅は競売にかけられます。自宅が競売にかけられ売却代金が住宅ローンに充当されても、住宅ローンの完済に至るケースは少なく、住宅ローンの残金を返済する資力が無いために自己破産に陥るケースは多々あります。

離婚後、新しくスタートさせた生活を壊さないためにも、住宅ローンの借り入れをしている金融機関で契約内容を確認することが大切です。
借り換えなどで契約内容がかわっていることもあります。もう一度、契約書類を一式、必ず確認してください!

今、誰が、どのくらい債務を負っているのか、しっかり確認し認識すること。
これが離婚後、不動産トラブルに巻き込まれないためにも、自己破産してしまう状況に陥らないためにも大切なことです。

 

共有名義の不動産について相談したい、ローンがまだ残っている…という方は、菰田総合法律事務所へ!
博多・那珂川に各オフィスがあるので、お住まいや職場に近いオフィスで相談可能です。
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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2019.01.17

離婚の話が持ち上がったら、確認してほしいこと

離婚後、特にトラブルになりやすいのが不動産に関する財産分与の問題です。住宅ローンは残債額が何千万単位と高額であることが多く、その処理について紛争の火種になることがあります。

「売却すれば、問題は解決するのでは?」

新築で購入していたとしても、少しでも住めば中古物件となります。そのため、一気に価値が下がり、売却をしたとしても住宅ローンが残ってしまう、という状況があり得ます。
このように、住宅ローンが物件価値(時価)をオーバーしていることをオーバーローン、債務超過といいます。この場合であっても、ちょっとでも残債額が減るのなら・・・と不動産を売却すると、売却代金で賄うことが出来なかった住宅ローンの残債は一括で返済しなければなりません。このようなケースでは、住宅ローンが原因で破産しなければならない状況へと進んでしまう可能性があるのです。
「離婚が破産につながる原因のほとんどが住宅ローン!」というのはこれが原因です。

「離婚後に不動産トラブルに巻き込まれないためには、まずどうしたらいいの!?!?」

まずは、不動産に関する問題を冷静に把握、整理しなければなりません。
主に確認すべきチェック項目は次の通りとなりますので皆さんも確認してみましょう!

  • □ 不動産の取得時期はいつ?
  • □ 不動産の購入時の金額は?
  • □ 不動産を購入時に頭金はあったか?頭金があればどこから支払った?
  • □ 土地・建物は共有名義?単独名義?
  • □ 担保権(抵当権や差押え)は設定されている?
  • □ 現在の住宅ローンの残高は?
  • □ 住宅ローンに連帯保証人はいる?
  • □ 住宅ローンで連帯債務者はいる?
  • □ 住宅ローンはいつ完済予定?
  • □ 不動産の現在の査定額はいくら?

いかがでしたでしょうか。きちんと把握しておくべきことがたくさんありますね。
不動産の権利関係等の詳細は、法務局で不動産の登記簿謄本を取得して調べることができます。しかし、ここで注意してほしいことが、連帯債務者は登記簿謄本に記載されますが、連帯保証人は登記簿謄本に記載されません!住宅ローンを借り入れている金融機関で借入状況と合わせて契約内容を確認してください。
売却の予定があるのであれば、不動産業者に土地・建物の査定をしてもらい、あらかじめ資産価値を把握しておくことも大切です。

マイホームを手に入れられる喜びでいっぱいで、大事な権利関係などを十分に把握していない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、離婚後、不動産トラブルに巻き込まれないためにも、後回しになりがちな不動産に関する問題を冷静に把握、整理するためにも、権利関係、不動産の内容をしっかり認識しておきましょう。

 

離婚後の不動産トラブルでお困りの方、菰田総合法律事務所へぜひご相談ください。
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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2019.01.16

日本における『離婚』について

はじめに、日本における離婚には3つの種類があります。
1つめは「協議離婚」です。協議離婚は、夫婦で話し合いを行い、お互いに離婚について同意をしたうえで、離婚届を作成し役所に提出することで成立する離婚のことです。

2つめは「調停離婚」です。正式には「夫婦関係調整調停」といいます。夫婦間で離婚について協議をするも話が纏まらないときに、裁判所へ離婚調停の申立てを行い、裁判所の選任する調停委員が夫婦の間に入り離婚に関する諸条件等を話し合いで調整しながら離婚を進めていくことです。
調停を進め合意に至れば、裁判所が作成する離婚調書を役所へ提出することで離婚が成立します。

3つめは「裁判離婚」です。裁判離婚は相手が離婚を望む、望まないに関わらず、判決によって離婚を成立させるものです。裁判で判決が出たら、夫婦ともにその内容に従わなければならず、判決によって成立した離婚、その条件は判決が確定すると変更をすることができません。
相手に明らかな離婚原因(不貞行為、DV等)がある場合は、裁判離婚を活用することも有効な方法となります。

どの手続きを選択しても、夫婦に子どもがいれば親権、養育費が、そして、婚姻後に築いた財産があれば財産分与が協議する主な内容となります。
「親権」の協議は、離婚後、両親のどちらが子どもの親権を持つのかを決めるために行います。加えて、親権を取得出来なかった親は、子どもに対し「養育費」を支払う義務が発生します。(養育費を受領する権利は子どもにありますが、実際には子どもの法定代理人として親権者が養育費に関する協議を行います。)
また、財産分与は、婚姻後に築いた共有財産をどの様に分けるかを協議していきます。

《財産分与の対象となるものの例》
不動産や家具・預貯金・車・有価証券・保険解約返戻金・退職金etc

 

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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2017.10.05

弁護士による「離婚・親子問題」に関するお悩みQ&A

福岡市博多区と那珂川市オフィスがある、弁護士法人菰田総合法律事務所です。

「離婚・親子問題」に関するお悩みを当法律事務所では、多くご相談頂いております。
弁護士へ少しでも相談頂けるように、離婚にまつわる参考記事を随時下記サイトへアップしております。

ご相談者様それぞれでご相談内容は変わってきますので、まずはお気軽に初回無料相談のご予約をお勧めしております。

お電話やWEB予約を使ってお気軽にご予約をお待ちしております。

安心の弁護士ニュース(離婚・親子問題カテゴリー)

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2017.05.09

内縁ってなあに?一緒に住んでるんだから夫婦でしょ?

入籍していなくても、長年付き合っている方というのは大勢いらっしゃいますよね。
法律事務所には、「私たちもう5年も同棲しているのだから、実質的に結婚しているといえないのかしら?法律的にはどんな状態なの?」といったお悩みを抱えてらっしゃる方もいらっしゃいます。
今回は、入籍はしていなくても、事実上の夫婦といえるような場合に、法律上どのように扱われるかについてお話ししたいと思います。

1 内縁ってなあに?

内縁とは、婚姻意思を持って生活を営み、周りから見れば夫婦と同視できる状況にもかかわらず、婚姻届を提出していないため、法的には夫婦と認められない男女関係をいいます。
ここで、内縁関係か否かは、夫婦生活の実態とその継続性、性的関係の継続性、子供の有無、家族や第三者への紹介、見合い・結納、挙式など、慣習上の婚姻儀礼の有無などを総合的に考慮して判断することになります。

そのため、具体的な事案を見てみないとわかりませんが、ただ5年同棲しているだけというのでは内縁の妻ということは難しいかもしれません。(同棲の年数も重要な要素の一つではありますが、必ずしもそれだけで内縁かどうかが決まる訳ではありません。)
今回は少し踏み込んで、具体的な事案を紹介してみたいと思います。

2 事例の紹介

私の彼は既婚者なのですが、奥さんとは上手く行っておらず別居しています。そして、彼から「妻とはもう別れるから結婚しよう。」と言われたので、その言葉を信じて半年ほど同棲していました。
しかし、ある日、彼は「やはり妻と別れることはできない。」と言って、家から出て行ってしまいました。
私たちの関係は、内縁といえると思います、何か法律上の保護を受けることはできないのでしょうか?

3 事例への回答

今回の相談者は、彼との結婚を考えながら同棲していたにも関わらず、一方的な理由で別れを告げられ、精神的に傷付けられてしまいました。
もし二人が内縁関係にあると認められるのであれば、相談者は、彼に対して内縁関係の解消に伴う損害賠償を請求することができるかもしれません。(内縁関係にないのであれば、自由恋愛で分かれただけの話になってしまい、何か慰謝料が発生する特定の事情がない限りは、損害賠償という話にはなりません。)そのため、まず両者の関係が内縁関係にあるかを検討してみたいと思います。

今回の事例の場合、同居期間が約半年と短く、しかも奥さんもいることから、二人の間に婚姻意思があることを証明するのは難しいと思われます。
もっとも、住民票に「妻(未届)」と記載されていたり、家族や友人などが夫婦としてあなたたちを認識していたり、挙式などをしていたりしたのであれば、内縁関係が認められるかもしれません。
実際に、1か月の同棲でもその他の事情から内縁関係を肯定した審判例もあります。

しかし、今回のハードルはそれだけではありません。相手の男性に妻がいて、婚姻関係にあることも問題になります。
上でも述べたように、内縁とは、夫婦共同生活上の実態が必要ですから、法律上の婚姻関係が破綻している必要があるように思えます。しかし、裁判所は、当事者間の不当な内縁解消の場合には、重婚的であることはあまり問題にしない傾向にあります。
したがって、彼が奥さんとの籍を抜いていない点は、それほど重要視しなくても良いかもしれません。
ただし、彼が本気で結婚する気があるのであれば、奥さんとちゃんと離婚しようとしていたでしょうから、彼と奥さんが離婚調停を行っていた等の事情があるはずです。
結局、内縁が認められるためには、必ずしも彼が奥さんと離婚している必要はないのですが、彼が奥さんと離婚しようと必死に行動していることは、内縁が認められるためのプラス要素となります。

以上のとおり、今回のケースでは、半年間同棲していたという事実以外に何らのプラス要素もないと仮定すれば、内縁関係の成立が認められることは難しいと思われます。
もっとも、同棲期間が短いこと、彼が既婚者であること等を考慮すれば、仮に内縁関係が認められたとしても、内縁関係解消に伴う慰謝料はあまり高額にはならないと思われます。

4 まとめ

内縁関係が成立するかどうかの認定は、極めて多種多様な事実関係を用いて行いますので、その論理を組み立てることも証拠を収集することも非常に難しいものです。
結局は、彼との出会いから現在までを詳細に伺い、内縁関係成立に有利な事情と不利な事情を選り分け、それらを証明するための証拠を収集し、過去の裁判例を踏まえながら戦い方を考えて行かなくてはなりません。
このような男女問題に関しては、過去の経験値やノウハウがなくては適切なアドバイスが難しい分野です。必ず離婚・内縁・慰謝料等、多数の男女問題を扱っている弁護士事務所にご相談されることをお勧めします。

当事務所では、離婚、親子関係のお悩みについてご相談を承っております。博多オフィスは相続を専門に扱っているオフィスですので、離婚のご相談は有料となりますが、那珂川オフィスでは初回相談無料です。
お気軽にご相談ください。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.07.06

ケース別離婚問題

医師や会社経営者、高所得者は、財産分与において
一般的な事例が適用されない場合があります。

離婚においては、職業やご依頼主さまの置かれている立場によって特有の問題が起こります。特に収入の高い方は、財産分与の面で後になって後悔しないために、離婚を考えたらまず、離婚問題に強い専門家のアドバイスを一度受けられることをおすすめします。まずは離婚における金銭トラブル解決に数多くの実績を持つ当事務所にご相談ください。

◎医師特有の離婚問題
収入が高いために起こる財産分与の問題もさることながら、医師の離婚が複雑化・長期化する原因は、妻が医療法人の理事を務めていたり、妻を従業員として雇用していたり、病院と個人宅が兼用である、開業時に資金を妻の親が提供しているなど、公私の切り分けが複雑なことにあります。離婚の際は婚姻関係の解消と併せて、ほとんどの場合で解任手続きや雇用関係の解消手続きが別途必要となるためです。

詳しくは、こちら「医療専門サイト 医師特有の離婚問題」をご覧ください。

◎会社経営者の離婚問題
会社経営者の場合、総じて収入が高い上に不動産、ゴルフ会員権、高級車、貴金属、美術品など保有財産の種類が多岐にわたることが多いため、離婚の財産分与にあたって紛争が起こりがちです。

財産分与においては、会社経営者も一般的な夫婦に適用される、婚姻関係の間に築いてきた夫婦の財産を平等に分ける「2分の1ルール」にあたらない場合が多くあります。たとえば、結婚前の必死の努力と投資をもとにして会社を興した場合や、夫の経営手腕によって事業拡大して莫大な財産を得たものの妻はこれまで一切経営にタッチしていない場合、妻よりも夫に対して多くの財産分与が認められることがあります。

また、法人の財産は経営者の財産とは別個のものですので、離婚の際の財産分与の対象とはなりません。ただし、法人の株式・出資持分を経営者が所有している場合の株式・出資持ち分は経営者個人の財産となりますので、財産分与の対象になり、株価などの算定が必要となります。

◎所得が高い方の離婚問題
所得が高い方の離婚問題では、医師や経営者と同様、財産分与の問題と併せて、養育費の金額で紛争となるケースが多くあります。

養育費に関しては、裁判所の「養育費算定表」が公開されており、子どもの人数や年齢、養育する親と養育費の支払い義務のある親の双方の年収を当てはめることで、義務者が負担する標準的な養育費の月額を知ることができます。

算定表は、基本的に年収が高くなるほどそれに応じて養育費も高くなるように設定されていますが、上限も設定されています。年収が給与所得者の場合で2,000万円、自営業の場合は1,400万円となっており、それ以上の所得者のケースは記されていません。

たとえば上限である年収2,000万円の給与所得者の養育費は、14歳以下の子どもが2人いる場合で月額28~30万と算定表に記載されています。養育費とは贅沢をするためのお金ではなく、子どもを扶養するためのお金であるため、算定表に記載されていないどんな高所得者でも、月々の養育費が30万を超えることはなかなかありませんが、この点は裁判例が分かれております。

高所得者を夫に持つ妻のほうからのご依頼も多く受けますが、まず知っておいていただきたいのは、年収が高いから養育費も青天井であるという認識は誤りだということです。逆に、妻から高額な養育費を請求されてお困りの高所得者の方も、言われるままの金額を支払う必要はありません。

当事務所では、算定表に記載のない高所得者または妻からのご相談も承っております。ぜひ一度ご相談ください。

◎借金が残っている方の離婚問題
借金などの金銭トラブルは離婚でよくある原因の一つです。借金があっても、夫婦で合意した協議離婚であれば離婚は可能です。

夫名義で金融機関からお金を借りている場合、債務者はあくまで夫ですから、金融機関からの取り立ては夫のみに行うことができ、妻に対して行うことはできません。

ただし、借りたときの名義は夫になっていても、夫婦の生活費として使用した場合は、夫婦共同の債務として財産分与において考慮されるか、または妻に支払う養育費の減額で調整することとなります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

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